金田風アンプ No.239の製作 ①

投稿者: | 2018年6月17日

今まで、パワーアンプ、プリアンプなど、いろいろなアンプを作ってきました。
それらは、ラックスキットやオーディオ専科のキットなどや、雑誌記事をもとにしたものが殆どです。自分で設計する能力がないので、ひとさまが設計したものを「作る楽しみ」だけで組み立ててきたというのが実情です。

そんなアンプ群の中で、その風格ある姿に私はただ眺めるばかりのアンプがありました。
それは金田式アンプです。

眺めるばかりの理由:その1
とにかく、部品の値段が高いのです。例えばコンデンサーに採用されている双信電機の製品は、数千円から時には数万円のものも。市販の廉価なアンプなら部品1個分で1台購入できそうです。

眺めるばかりの理由:その2
金田先生の指定に従うと、部品の値段の高さに加え、その部品が市場から姿を消しているなど、入手の非常に困難なものが多いようです。

眺めるばかりの理由:その3
トランスなども、超弩級ということばが当てはまるような、巨大な重量のあるものが使われています。電解コンデンサーもロールケーキを彷彿させる大きなものが採用されています。

眺めるばかりの理由:その4
配線基板はサンハヤト製ベークライト穴開き基板AT-1Sを使うよう推奨されています。同じ穴開き基板でも、なぜか、ガラスエポキシ基板ではだめとのこと。部品間の配線は、モガミ製、ダイエイ製の電線から芯線を抜き取り、それを捩って使うよう、これも推奨されています。
電線の向きも信号の入り口と出口があり、気にしなくてはならないとされています。
プリント基板などを採用するなど、論外みたいです。

眺めるばかりの理由:その5
電線だけでなく、抵抗、コンデンサーなども信号の入り口と出口に気を付けるよう、そのため配線図の部品にも△の入り口マークが添えられています。

眺めるばかりの理由:その6
金田式アンプを製作した方々のブログなどを拝見すると、出力段のトランジスタやFETを簡単に飛ばしてしまった体験談が書かれています。すでに10個ほども壊れてしまったなどと書いてあると、それだけで尻込みする気持ちになります。
ましてやスピーカーから煙がでて、ボイスコイルが焼け切れたなどの記事は、私の恐れに拍車をかけるものでした。

要するに高価な部品と複雑な回路を搭載したアンプで、技術力のない私には到底手出しができないと思っていたわけです。もちろん金田式アンプを嫌っていたわけではありません。むしろ興味津々、しかし敷居がとてつもなく高いというだけで、長年憧れの存在ではありました。

ところが遠くから眺めるだけの金田式アンプに急接近し、まさに「この期に及んで」作ろうと決意させるものがありました。

それは、タイトルにも書きましたNo.239のパワーアンプ製作記事に出会ったからです。

このアンプは今までの金田式アンプと比べると、「回路のシンプル化が図られ部品点数も大幅に減少している」とのことで、一見して私にも手を出しやすいように思えたのです。

そして、良い時代になりました。プリント基板のことですが、中国の業者に依頼すると、日本国内業者では1面数万円かかるものが900円ほど(送料込み)で製作してくれて、その仕上がりも私には十分過ぎるようなクオリティのものが手に入るようになりました。

2015年に雑誌記事が発表されて以来、記事を読み返しては考えてきましたが、「これは私が個人で使うアンプ。プリント基板を採用すればいいのでは。部品も金田先生指定品が手に入ればよし、なければ代替品で」と思い至りました。そう考えるととても気が楽になったのです。


中国の業者に依頼して作成したプリント基板(全11面)