2級小型船舶免許の取得に挑戦⑦

投稿者: | 2014年10月7日

実技講習を受ける⑤

小一時間の昼食休憩ののち、昼からの実技講習が始まりました。まずハンドコンパスの取り扱いです。高価なものなので海中に落とさないようにと、ちょっと脅かされながら講師の指し示す目標の方位をハンドコンパスで測定し報告しました。これは特に問題なくこなすことができました。

そして、午前中におこなった変針の応用問題のような避航操船を練習しました。私がボートを直進させているときに、講師が何枚かの写真から1枚を取り出し、操縦席の前に示します。その写真の船の種類に応じた対応を、実際の操縦の中で示さなければなりません。動力船以外はすべて停船としました。

続いて、人命救助の練習です。講師の模範操縦のあと、私が操縦席につきました。ボートを直進で操縦するように指示されそのようにしていると、講師から船尾甲板に来るように言われました。甲板に出てみるといつの間にか後方20mほどの海上に旗のついたブイが浮いています。「要救助者(ブイのこと)を救助してください」と言われ、「要救助者発見」とブイを指差し確認した後に操縦席に戻り、180度変針しそのまま微速前進。ブイに近づくとハンドルを少し切ってエンジンを中立、すぐに船尾に行きボートフックをブイの輪っかに通して掬いあげるのです。しかし、午前と違い昼からは波も少し高くなり、ボートは前後左右に大きく揺れてバランスをとるのも一苦労。緊張も手伝い、あさっての方向を向いている輪っかにボートフックをひっかけられず、ブイはぷかぷかと通り過ぎてしまいました。失敗、もう一度やり直しです。しかし、2度目も何故か輪っかがあさっての方向を向いていて、またまた通り過ぎてしまいました。3度目はボートフックをあきらめて、手で拾い上げることにしました。これは大正解でした。

実技講習を受ける⑥

次に、蛇行の練習をしました。3つのブイが50mほどの間隔をあけて直線上にならんでいます。その間を3500~4000回転の速度を保ちながらジグザグに通り過ぎるのですが、このスピードが結構厳しく感じられるのです。地上では時速40キロくらいと講師が励ましてくれても、右に左にとボートが大きく傾くのはスリリングですし、曲がりきれずブイの一つをすっ飛ばしてしまうのではないかなどと、心配になったりもします。しかも、「蛇行を開始します。前後左右よし。発進します。増速します」と蛇行の動作に入り、3つめのブイを通りこしたら最初の針路の延長線上に戻り、すぐに速度をおとし後方を確認し「蛇行終わりました」と言わなくてはなりません。初心者の私には一連の動作をこなすのはとても忙しく、ちょっとプレッシャーを感じてしまいました。しかし、これも何度か繰り返すうちになんとかこなせるようになりました。

そして、着岸と離岸の練習へと続きます。波の高くなった港外から防波堤に囲まれた港の中に戻ると、波が静かに感じられました。出発した桟橋に戻ると、講師が着岸の仕方を実際にやって見せてくれました。以下の操作は当日に教えてもらったもので、天候や波や風の具合で臨機応変に対応する必要があるようです。桟橋の着岸目標に向けて、桟橋に対し斜め30度位の角度で微速前進し、すぐに中立、やがてボートの幅3つ分くらい桟橋に近づいたとき、ハンドルをいっぱいに切り、後はボートが静かに桟橋と平行になるまで待つ。平行になればブレーキをかけるため、リモコンレバーを軽く後進にいれてすぐに戻す。桟橋とボートとの間隔がボートフックを延ばせば届く位置になれば着岸合格というものです。

これも結構難しいボートの操作でした。微速前進から中立にしてボートがゆっくりと桟橋に近づくのを待つのですが、桟橋に着くまでに止まるのではないかと不安にかられるあまり、ちょっとリモコンレバーを前進に入れたつもりが速度がついてしまい桟橋にぶつかったり、ボートが平行になってよかったと思ったら、後進のブレーキをかけ過ぎて後ろに進んでみたりと、なにかとバタバタしてしまいます。実地の試験では心を落ち着けるよう自分を戒めました。
離岸は、船体のあちこちをぶつけないように後進で静かに桟橋を離れるというもので、これは1、2回の練習でクリアできました。

実技講習を受ける⑦

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こうして、ボート操縦の練習は終わりました。実習生としての私はどんなものか講師に尋ねてみました。そうすると、特にうまくもへたでもなく、年齢相応と言った答えが返ってきました。覚えが早いのはやはり高校生で、私たちがかけた時間の半分ほどで何でもかんでもマスターしてしまうそうです。

ボートを返してくるまで朝の小部屋に戻って待機していてくださいということで、いったん講師と別れました。そのときふと、まったく写真を撮っていなかったことに気づき、あわてて持参のスマホで撮ったのが上の写真です。私たちが一日お世話になったボートが離岸するところです。センターハウスに戻る途中、実技講習に集中していた気持ちがほどけたせいか陸の上の暑さに気づくとともに、海の上は日差しこそきついものの、総じて涼しかったことを思い返しました。

小部屋に戻ると今日はなかなかハードな時間を過ごしたようで、深々と椅子に座り込んでしまいました。
やがて、講師が帰ってきて、本日の復習ということで特に大事な点を幾つかホワイトボードに図で示し、より詳しい説明を加えてくれました。蛇行でのハンドルの切り返しポイント、人命救助でのブイへの近づき方、着岸におけるハンドル、エンジン操作の注意点などなど。改めて納得するところが多かったです。

以上で内容盛りだくさんの実技講習が終わり、力を尽くしてくれた講師にお礼をいうと、私たちは新西宮ヨットハーバーを後にしたのでした。

(続きます)