金田風アンプ No.270の製作 ⑧

投稿者: | 2021年8月11日

最近はレコードを鑑賞する時はいつもNo.270にスイッチを入れています。
以前にも書きましたが、清涼感にあふれた再生音で、低音の豊かさ、高音の冴えかえりが素晴らしく、全体として耳に心地よい音を奏でてくれて、とても気に入りました。
この再生音は、このバッテリードライブハイブリッドアンプに備わった、他のアンプには求め難い貴重なものと思っています。

さらに、金田風アンプに共通した音像が明瞭なことはこのアンプも例外ではなく、各楽器の位置もよく分かります。
ある人のブログに、金田式アンプで聴くと演奏者の位置が「30cm間隔で分かる」とありました。
私の駄耳ではそこまでは聞き取れないものの、「今そちらからフルートが。続いてこちらからクラリネットが」などと、楽器の位置の移り変わりを聞き分けられ、レコード鑑賞の新しい楽しみとなっています。
まさに「クセになる」再生音を聴かせてくれて、しばらくこのアンプの魅力から逃れられないようです。

ただ、これも前に書きましたが清涼な再生音とはうらはらに、アンプ自体の発熱は相当なものです。
とくに、ヒーター用のレギュレーターの発熱がすごく、そのままでは触り続けられない熱さです。
小型の放熱器を付けてみても、何度かサーマルシャットダウン機能も働き、まさに焼け石に水、効果は望み薄です。

次に考えたのは放熱器をより大きくすることと、レギュレーターに入力しているバッテリーからの16Vを少しでも下げる工夫です。
プラスとマイナスの回路それぞれに1.5Ωのセメント抵抗をつけ、入力電圧を合計14V程度に下げることにしました。
このレギュレーターは入出力電圧差がきわめて低いので、電圧差1.4Vでもうまく働きそうです。
この試みはうまくいったらしく、放熱器は指を触れ続けることができるほどになりました。
サーマルシャットダウン機能も現在のところそれが働くことなく安定しています。
ただ、こんどはセメント抵抗が熱いです。

ところで、某巨大掲示板をのぞいてみたところ、「No.272(No.273)のバッテリードライブDAC」について「2段目の2SA970を指で触ると数秒も辛抱できないほど」の熱さだとの投稿に目がとまりました。

No.272の真空管アンプ部は、このNo.270とほぼ同じ回路なので念のため本機も確かめてみました。
すると、イコライザーもラインアンプも全ての2SA970が熱くなっています。
今まで真空管やレギュレーターの発熱に気を取られ気づかなかったことでした。

投稿をきっかけに様々な議論が展開される中で、解決策も示されています。
幾つかの策の中でこれはと思ったのは、アイドリングを8mAに絞り、2段目定電流の帰還抵抗を高くする、次にレベルシフトツェナーを入れるというものでした。
この解決策を本機にも適用したところ2SA970の熱さはおさまりました。出力される再生音にも問題は認められません。
良き解決策をいただいてここにも助かった者がいることを記し、感謝したいと思います。