2級小型船舶免許の取得に挑戦⑩

投稿者: | 2014年10月15日

学科・実技試験を受ける④

短めの昼休み時間を過ごすと、いよいよ実技試験です。集合時間にビジターバースのフェンス前で待っていると、中年の男性が近づいてきました。どうやら私たちと一緒に受験する人のようです。やがて、試験官の1人が桟橋の方からやってきて入口のカギを開けてくれました。中に入り桟橋に向かって歩いて行くと、船内外機や船外機など、種類の違う3隻のボートが係留されていることが分かりました。それぞれの受験者が練習したボートで試験が行われているようです。一番手前のボートが、講習で乗船して見慣れた私たちの試験艇でした。

待機していた試験官と挨拶を交わして、本人確認のあと実技試験での注意事項がありました。特に、「分からないときに尋ねても実技講習ではないので答えません。また危険と判断する場合は試験を中止することがあります」と重々しく告げられました。
そして、ロープワークから試験が始まりました。3人が同時進行で試験官に指示されたロープワークをするのですが、なんと私に割り当てられたのは本結びでした。試験官が見つめる中、心の中で例の呪文を唱えながら結ぶと、これまたなんと1回で出来てしまいました。

学科・実技試験を受ける⑤

続いて、全員桟橋で待機するようにと言われました。順番に出発前の点検をするようです。受験番号順なのか、まず妻が呼ばれボートに入りました。試験官の質問に首を傾けて考えてみたり、ぼーっと立ち上がったかと思うと、突然動き出して点検場所に向かったりと、見ていて少しはらはらしました。続いて私の順番になりました。1人ずつ全く別の点検項目を指示されるようで、私の項目は、「船灯とワイパーを点検してください」、次に「油量はどこで確かめますか。それとプライマリーポンプを点検してください」、さらに「信号紅炎とライフブイを点検してください」というものでした。

交代で全員が点検を終えると、こんどはエンジンの始動、暖機、停止の項目です。再び1人ずつ呼ばれて、試験官の指示に従いエンジンを始動し、暖機し、停止して行きます。今度も妻が先頭です。これも終わると、トラブルシューティングへと続きました。私に与えられた課題は、「エンジンを始動しようとしたらスターターモーターが回らない。どこを点検するか」というものでした。

こうして3人とも出発前点検のテストが終わり、全員乗船して試験官の操縦で港外に向かいました。港外にでてみると、少々波が高く感じられます。そして、またまた最初に妻が呼ばれました。運転席に座ると、「発進してください」と指示を受けています。前後左右を確認し、「発進します」と言い、リモコンレバーを徐々に前に倒し、順調に発進しました。次に増速の指示があり、やはり前後左右を確認したあと、「増速します」と言ってリモコンレバーを更に前に倒します。なかなかいいぞと思いながらも、ちょっと声の小さいことが気になりました。小さいよりも大きい声の方がメリハリがきいていて、高得点にもつながるでしょうから。

増速したまま直進していると、試験官が「右後ろの赤い建物が見えますか。そちらに変針してください」と指示を出しました。「前後左右よし。右に変針します」と言いハンドルを操作し、ボートを目標に向けました。「変針終わりました」と報告すると、今度は「左後ろに高い煙突がみえますか。そちらに変針してください」と指示を出すので、「前後左右よし。左に変針します」とボートをそちらに向けます。斜め横だけではなく、真後ろにも変針を繰り返し、リモコンレバーを中立で妻の順番は終わりました。

次は私の番です。妻の声の小さいのが気になっているので、見本を見せるとばかり、大きな声と確認の身振りも大袈裟にボートを操作しました。発進から変針までの一連のテストが終わって席を離れようとすると、試験官が「名字が一緒なので、もしかしてご夫婦ですか」と尋ねるので「そうなんです」と答えました。

3番目の男性もテストが終わり、また妻が呼ばれて操縦席に着きました。今度は後進です。このとき試験官が「ご主人も頑張っているので頑張ってくださいよ」と妻に声をかけたので、ちょっと苦笑してしまいました。私の身振りはなんだか大袈裟すぎたようです。これも3人とも難なくテストを終えました。

学科・実技試験を受ける⑥

続いて人命救助です。今度は私が最初でした。講習で練習したとおり、要救助者(ブイ)確認、船尾周り確認、ボートフック確認としたあと、おもむろに要救助者に向けてボートの方向を転換し、救助に向かいます。ブイの直前まで近づいたのを見計らいハンドルを左いっぱいに切り、リモコンレバーを中立にすると、すぐに船尾甲板に向かいました。すると、ブイは右舷側すれすれを浮いて近づいてくるではありませんか。ちょっと手を伸ばすと難なく拾い上げることができました。

次に妻が指名されて、これも難なくこなしました。ただ、後で聞くと、ブイを拾い上げたとき、試験官がうれしそうに「拾いましたね」と褒めてくれたそうです。人命救助は少しレベルの高い試験項目のようですから、試験官は内心妻を心配していたのでしょうか。こうして、人命救助も3人とも無事終えることができました。

試験の写真はもちろんありませんので、この免許取得ドラマのそもそもの始まり、須磨ヨットハーバーの風景をどうぞ。

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(続きます)