TA2020アンプの入手とオペアンプの交換

投稿者: | 2019年1月31日

「金田風アンプ No.239」の組立はすこしずつ進んでいます。

金田式アンプを幾つも組み立てた方々なら、組み立て手順になんの迷いもないはずです。
しかし、金田式アンプ初心者の私は、製作記事を何度読み返しても、記事の写真を穴のあくほど見つめても、謎の部分が残ります。
更に、この年齢で初めて手がけることも多く、ハードルが高いこと夥しいものがあります。

そのため、B4用紙に基板の図を並べ書きし、鉛筆で結線するという図上研究を繰り返しています。

にも関わらず、記事中のRCP基板の実態図は間違いで回路図が正しいと折角気づいたのに、いざ基板の原図を作成する時には頭が混乱し、実態図にも回路図にも則らない原図を創作しそれで発注してしまうという、まことに「あほな」ことをやってしまいました。
この仕上がってきた基板の間違いに気づいたのはごく最近で、只今発注し直しています。
(RCP基板の実態図の間違いは、2015年11月号のNo.240の製作記事中で訂正されています。併せて幾つかの項目の訂正があります。ご注意を)

そんなこんなの繰り返しは楽しい反面、山に登らず麓を行き来しているだけのように思われ、近頃は少々虚しさを感じているのは事実です。

そういう虚しさを打開するために、以前から気になっていた中華アンプを購入することにしました。
(大きく出ましたが、単にアンプを購入したかっただけのようです)

Lepyという会社のLP-2020A+というアンプです。
このアンプに使われているTA2020というICは、「世界を揺るがした25枚のマイクロチップ」(*)に、インテル8088やモトローラMC68000と並んで掲載されているそうで、それほどに由緒正しい「石」です。
(*IEEE SPECTRUM「2009年5月1日」の特別レポート)

巷での評価も高く、いつかは手に入れたいと思っていました。
ただこの石を生み出したTripath社はすでに倒産し、セカンドソースもないので市場在庫がなくなればそれで終わりという、なにかCP/Mを生み出して消えていったデジタルリサーチ社を想起するようなお話です。
技術の天才は必ずしも経営の天才ではないのかもしれません。

私が手にいれたかったTA2020はすでに在庫が尽きたのか、先のアンプはLP-2024A+という名前になり、中のICも変更されているようです。
そこでどうにかTA2020を使っているアンプを手に入れたいと調べてみると・・・、ありました。

NFJの「FX-AUDIO FX-2020A+ CUSTOM」。ただ価格が9,800円とLP-2020A+の約3倍なので購入を躊躇してしまいます。

もう一つはAmazon取り扱いのDING SHINEブランド「XZD-2020」で、5,486円。
LP-2020A+を少々上回りますが、まあ辛抱できる値段です。それで、こちらを購入することにしました。
どちらの製品も使っているTA2020は中古品のようです。


DING SHINEブランド「XZD-2020」

購入申し込みの次の日には到着しましたので、早速オーディオセットにつないで試聴してみました。
さすが定評通りの良い音が出てきます。
エージングが大切らしいので、半日ほど鳴らし続けるとなにか音もまろやかになったような気がします。
内蔵のオペアンプを変えると更に音の変化を楽しめるとかで、手持ちのオペアンプで試してみることにしました。


左がOPA627AU、右は当初ついていたNE5532P

まず、Burr-BrownのOPA627AUを試します。これ2個で今回購入のアンプの値段を上回ります。
といっても一万円を超えることもない、ふところにやさしいものです。
たしかに一段音質が向上しましたが、長く聴いているうちに、これはこれで魅力的と感じつつも、どうも高音部が煌びやかすぎるように思えてきました。

次に試すのは新日本無線、MUSES 01です。こちらもOPA627AUと同様の値段で、足が折れないように8本足のハカマをはいています。
これも素晴らしく、見事な音を奏で弦楽器の弦の音色などほれぼれするくらいです。
落ち着いて音楽を鑑賞できることが分かりましたので、しばらくこの組み合わせで過ごすことにしました。


右上にMUSES 01が並ぶ。真ん中で放熱器を背負っているのがTA2020

虚しさは・・・、ちょっとは解消できたのでしょうか。

*記事中の価格はいずれも2019年1月現在のものです。