金田風プリアンプ No.257の製作 ⑥

投稿者: | 2019年4月5日

この一か月はプリアンプ完成に向けて常に考えたり、記事を読んだり、試してみたりの日々でした。
途中に友人たちと一泊小旅行を楽しむ機会がありましたが、その間も一人になると回路図を眺めたりして、友人たちはさぞかし奇妙に思ったことだと思います。
それほどに、金田アンプに入れ込んでいました。

とにかく、動作しない、または記事に書かれている電流値とは食い違っているなどなど、前回にもお話した、あっという間の発熱もありました。

それでもようやく各部の調整も済ませ形を成したので、まだパワーアンプができていないため、既存のアンプに電圧伝送で接続しました。
しかし、プレーヤーにつないでレコードをかけてみても、うんともすんともいいません。
金田アンプ初心の私にとって、勝手の知れないものをまさに手探りするといった感じです。

そのうち調整ピンプラグと、カートリッジと、それぞれの2SK43のIdssに若干の差異があるはずで、つなぎなおした時には調整をし直す必要があることに気づき、調整ボリュームを回してみるとなんと音が出てきました!
イコライザーアンプもライン等アンプも、ちゃんと仕上がっていたことが分かりとても感激しました。多分「やった」とつぶやいたと思います。

何が起こってもいいように、小型のスピーカーをつないでいて、最初は変な音が出てきて驚きましたが、小一時間ほど鳴らしていると普通の音になりました。
多分、スピーカーにとって今まで再生したことのない、より幅の広い音声信号が送られてきて、慣れるのに時間がかかったようです。

再生される音は、さすがにもてはやされるだけのことがあると納得する素晴らしさです。
今までにも色々なアンプを買ったり組み立てたりしてきましたが、再生されるのはそれらを超える、まさに未体験の音場でした

それ以後、レコードをとっかえひっかえ聴き直す毎日で、そのため次のアンプ作りの準備が全く進みません。

思いつくままに感想を書き並べると、
イムジチの四季なら、ホールの天井が一段と高くなった。
ベートーヴェンの合唱なら、4人のソリストたちの立ち位置がくっきり分かる。
スピーカーの存在を忘れ、楽器と向き合っているかのよう。
などなど。

念のためカートリッジやプリアンプを今までのものにつなぎ換え同じレコードをかけてみます。
すると、当たり前のことですが同じ音楽がきれいな音で出てきます。
ほら、今までのオーディオシステムもまんざら捨てたものではない、落ち着いた演奏ではないかと、いったんは安心します。
しかし、聞き続けるとやがて金田アンプが全く別の魅力を持ったアンプであることに気づきます。

ともかく、この年齢になって大変なものに巡り会いました
金田先生が、「音楽を聴くのが好きな人ほどアンプを作らなければならない」とか「(金田アンプを聞かないまま)音楽人生を終わるのは気の毒だ」などと書いているのを読むと、今までは失礼ながら「少し大げさでは」と思っていました。
しかし、今は知らないままの幸せもありますが、知ってしまった別の幸いもあることを感じています。

さあ、こうなるといよいよパワーアンプの組み立てに集中しなくては。